五苓散(ごれいさん)

五苓散は、沢瀉(タクシャ)、猪苓(チョレイ)、茯苓(ブクリョウ)、白朮(ビャクジュツ)、桂皮(ケイヒ)の5つの生薬から成る漢方薬です。

猪苓:利尿作用があります。

茯苓:利尿作用・鎮静作用・健胃作用・抗めまい作用があります。

蒼朮または白朮:健胃作用・利尿作用・発汗作用があります。

沢瀉:利尿作用があります。

桂皮:発汗作用・解熱作用・鎮静作用・健胃作用・理気作用などがあります。

湿邪が体内に停滞しやすい体質を湿滞(しったい)と言います。停滞した水分をスムーズに流れるようにすることができる「五苓散」で、むくみを解消します。水分循環を良くして、無駄な水分を取り除く効果があるのです。

嘔吐、下痢、むくみ、めまい、頭痛などに適応して、ドライマウスにも効果を期待できます。体質にそれほどこだわらず、口が渇いて、尿量が減少したなどを目安に広く処方されます。

二日酔いにも効くと言われています

二日酔いの正体は、アセトアルデヒドと言われています。体内に入ったアルコールは肝臓で分解されて、アセトアルデヒドという成分になります。飲みすぎた場合に分解されずに残ったアセトアルデヒドが、身体に悪影響を及ぼします。

また、アルコールを摂取すると、血液に含まれる水分が血管の外に出て、血液中の水分が減るため脳が脱水だと判断して、水分を欲しがります。

喉が渇くので、水分を摂取しますが、アルコールを飲んでいるので、再び血液から水分が流出するという悪循環を引き起こします。

漢方の世界では、お酒はそれほど悪いものとして扱われていません。医学の医の旧漢字は、「醫」と書きます。「酒」にも使われている「酉」という部首が含まれています。「酉」という文字は酒が入っている壺の象形文字です。酒と薬は一体で、酒には薬効があると考えられています。

その証拠に、薬効のある生薬を酒に漬け込んだ「薬酒」が中国にあります。日本の養命酒も生薬をお酒に付け込んでいます。西洋にも薬草をリキュールに付け込んだ薬酒があります。

いくら薬効があったとしても過ぎたら毒になりますから、飲み過ぎはよくありません。特に西洋の方に比べて、日本人は、アルコールを分解する酵素を持たない方が多いので注意しましょう。

お酒を飲み過ぎて悪酔い、二日酔いの状態は、むくみ、口渇、下痢、嘔吐などの症状と同じで、水毒にあたるので「五苓散」で、身体の中の水分分布の偏在を整え、体内でバラバラになった水分のバランスを整えて二日酔いの朝にありがちな症状を改善します。

あずきの利尿作用を利用しましょう

あずきを煎じた「あずき茶」には利尿作用があり、余分な水分とナトリウムを体外へ排出してくれます。あずき50ccに対して、上質の水3~4カップと好みで、昆布3cm角1枚、片生姜の絞り汁 少々を用意しましょう。あく抜きは不要であく抜きすると、サポニンも抜けてしまって、むくみ解消の効果が出ません。

1.あずきを水で洗います
2.鍋にあずきと水と昆布を入れて中火にかけます
3.沸騰したら弱火にして水が半分になるくらいまで煮詰めてください
4.煮汁をカップに入れ、好みの量の生姜の絞り汁を加えます
5.温かいうちに飲みましょう

砂糖などが入っていないので、日持ちしません。冷蔵庫に入れても三日以内には消費してしまってください。胃腸の弱い人は空腹時に飲まずに、食後に飲むようにしましょう。

腎臓の弱い方が飲むととても美味しく感じます。美味しいと思える間は毎日飲み続けて頂いて良いのですが、「美味しくない」と感じるようになったら「もう必要ない」という身体からのサインですから、飲むのを止めましょう。

漢方と同じです。漢方も身体が必要としているときには、案外素直に飲むことができますが、身体が「もう要らない」と判断した場合や自分に合わない処方だと、不味くて飲みたくないと感じます。身体は正直なのです。

あずきの栄養素

・カリウム

体内の余分なナトリウムを体外へ尿として排出してくれます。血液の量を適正に保つことで、血圧の上昇を防ぐ作用があります。ナトリウムとカリウムは、バランスを保って適正になるように働くので、ナトリウムを過剰になると細胞内に水分が溜まり、むくみの原因になりますが、カリウムを摂取すると増えすぎた塩分を身体の外へ排出するので、むくみ対策になります。

・鉄分

体内の細胞に酸素を届け、貧血を予防します。

・ビタミンB1

糖質の代謝に必要で、神経機能を正常に保ちます。炭水化物の代謝をサポートするので、エネルギーとして消費する方に回り、脂肪として蓄積されるのを防ぎます。

・食物繊維

不溶性の食物繊維が多く、腸を刺激し、便を押し出すぜん動運動を促す作用が認められていて便秘対策に効果があります。腸内の余分な塩分や脂肪を吸着して、善玉菌のエサとなり腸内環境を整える作用もあります。

・サポニン

利尿作用があり、余分な水分を体外に排出するのでむくみを解消してくれます。中性脂肪値を下げる効果もあります。

・ポリフェノール

あずきのポリフェノール含有量は赤ワインよりも多く、ポリフェノールの抗酸化作用が、細胞の酸化を防ぎ、「活性酸素」という物質を、無害なものにしてくれます。
その他にもビタミンB群やカリウム、マグネシウム、鉄分や亜鉛なども豊富に含まれています。

五苓散と同じように、二日酔いにも効くと言われています。サポニンという成分には解毒作用もあり、二日酔いの原因であるアセトアルデヒドの分解をサポートしてくれるので、二日酔いになりにくいということです。

お酒は飲み過ぎには注意です。こちらも「過ぎたるは猶及ばざるが如し」です。