月経周期のそれぞれの基礎体温とホルモンの変化

基礎体温をつけていると自分の月経の周期がわかってきます。月経の周期は、月経が始まった日を1日目として、次の月経が始まる前日までの日を1回の周期として数えます。一般的には28~30日です。

1回の周期が同じ日数でなくても、個人差や生活環境などにより変化するので、変動が多少であれば問題ありません。月経周期は生理中の月経期、排卵までにかかる日数である卵胞期、卵子が排出される排卵期、排卵後に胚が着床する時期とされる黄体期があります。

卵胞期

卵胞期の基礎体温は低温相です。卵胞期は、月経初日より排卵日までの14日前後までの期間をいいます。

女性の卵巣には、原始卵胞と呼ばれる卵胞が多く存在しています。卵胞期には、この原始卵胞の15~20個が下垂体前葉から分泌されるFSHと呼ばれる卵胞刺激ホルモンの働きによって着々と成熟を始めます。

原始卵胞は徐々に層を重ねて1次卵胞→2次卵胞→胞状卵胞→成熟卵胞と内腔を持ち、だんだんと厚くなり内腔も拡大していき排卵に至ります。原始卵胞から1次卵胞までは約4ケ月、2次卵胞から成熟卵胞として排卵するまでも約3ケ月かかります。

卵胞の成熟にはかなりの時間がかかり、15~20個の多数の卵胞は同時に卵胞成熟過程に向けてスタートしているのですが、月経が終わる6日目頃には片側の卵巣の中の1個の卵胞のみが急速に成熟し始め、それ以外の卵胞は閉鎖卵胞となり退化していきます。

閉鎖卵胞は、LH分泌も少量あるので、内卵胞膜が形成され少量のエストロゲンの分泌を認めます。卵胞の成熟に伴い卵胞からのエストロゲンの分泌量が急増し、子宮内膜の肥厚が始まります。

排卵期

成熟した卵胞が排卵するのは、卵胞期の第14日目頃です。排卵期の基礎体温は高温相への移行時期となります。排卵後は、卵胞が黄体化しプロゲステロンを分泌し始めます。

成長した卵胞の影響で黄体ホルモンが大量に分泌され、卵胞は成熟していきます。卵胞が成熟すると卵胞からのエストロゲンの分泌が増えて子宮内膜は肥厚していきます。エストロゲンの濃度がピークを向かえ、その高い値一定期間続くことで、視床下部からGnRHと呼ばれるコナドトロピン放出ホルモンの分泌が増えることで、黄体化ホルモンであるLHの分泌を即します。

この作用をLHサージと呼び、排卵の引き金となり約36時間後に排卵します。LHサージの作用で成熟卵胞が破れて腹腔内に卵子が放出され、放出された卵子は卵管采と呼ばれる卵管采に吸い取られて卵管内膜にある絨毛の動きにより子宮へと運ばれていきます。このときのFSHはLHと同様の分泌量ですが、次第にLHより分泌が減っていきます。

黄体期

黄体期は、排卵後からの約12~14日まで続き基礎体温は高温相になります。妊娠が成立した場合は高温相のままで、胎盤が出来上がるまで続きます。胎盤が出来上がる頃には下がってきます。

排卵した後は卵巣に残った卵胞は黄体に変化し、変化した黄体は黄体ホルモンであるプロゲステロンを分泌して、子宮の状態を着床しやすく調えます。

排卵後の残された卵胞を顆粒細胞といい、黄体化ホルモンであるLHの作用によって、血管がどんどんと細胞間に入り込みます。そして毛細血管を形成して黄体となります。

黄体からは黄体ホルモンであるプロゲステロンを分泌により子宮内膜を厚くして受精卵が着床しやすいようにします。同時にエストロゲンの分泌も再び始まり2度目のピークとなります。

黄体期では、黄体ホルモンであるプロゲステロンやエストロゲンが急激に増加することで、下垂体前葉から分泌されるLH、FSHの分泌が

現象して、受精しなかった黄体は白体となって消失します。

プロゲステロンの働きはほかにも細菌やほかの精子の侵入を阻止するために子宮頸管の粘液の粘度を高める作用、エストロゲンとプロゲステロンは乳房を拡張させるといった作用もあります。

卵子が受精して着床すると、妊娠黄体は分娩まで維持されプロゲステロンを分泌し続けます。

受精卵が着床すると周りにトロホブラストというものが形成されます。そこからhCGと呼ばれるヒト絨毛性ゴナドトロピンというホルモンが分泌され、妊娠黄体が形成されます。このヒト絨毛性ゴナドトロピンの濃度上昇が妊娠検査で検出することで妊娠を確認することができます。

妊娠黄体からは黄体ホルモンが分泌されて、赤ちゃんの胎盤が完成する妊娠8週ころまでの妊娠の維持に役立ちます。胎盤や胎児が自ら成長してホルモンを分泌できるようになるまで黄体からプロゲステロンの分泌が持続するように働くのです。

月経期

妊娠が成立しなかった場合には黄体が徐々に白体に変化していきます。黄体が分泌していたプロゲステロンも下がり、子宮内膜を維持する必要がなくなり、エストロゲンの濃度も下受精が起こらなかった場合は、黄体は退化して プロゲステロンを分泌しなくなり、 エストロゲンの血中濃度も低下して、厚みを増していた子宮内膜が剥がれ落ち、月経の出血が起こります。

月経周期は出血が始まった日を1日目と数えて、次の月経が始まるまでの期間が1回の月経周期とします。1回の月経周期は様々なホルモンによって調節されていることがわかります。

月経は思春期に初潮が始まり、閉経すると終わります。約1ヶ月の周期で起こりますが、この月経周期の長さは、25~36日間と幅があります。よくモデルケースとなる28日間の月経周期の女性は10~15%ぐらいしかいません。多くの女性の月経周期は不規則で、モデルケーズとは違い長い場合や短い場合があります。

月経期は子宮内膜が剥がれ落ちることで出血が起きます。月経期に出血する月経血の量は個人差があり、15~75mlぐらいで収まり、3~7日間続きますが、通常は凝固しません。

女性の妊娠には様々なホルモンの影響で月経周期を整えて準備していることがわかります。