女性ホルモンは妊娠、出産のために分泌されているだけではなく、女性らしい身体を維持することや健康的な身体を保つために大切な役割があります。
脳の視床下部はホルモンの分泌をコントロールする司令塔で、下垂体を介して卵巣に指令を出します。
間脳の視床下部から性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)が分泌されるとその刺激が脳の下垂体に伝わります。そして卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体化ホルモン(LH)の2種類の性腺刺激ホルモンが分泌されます。
FSHとLHは卵巣を刺激して、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2種の女性ホルモンが分泌します。
脳は、身体のバランスを保つために常に監視しています。女性ホルモンの分泌も卵巣が適切に分泌しているかどうかもいつも監視して、バランスを保つようにと見張っているのです。
・性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)
性腺刺激ホルモンの分泌をコントロールします。脳の下垂体を刺激するホルモンで、下垂体を刺激して卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体 形成ホルモン(LH)に関わります。
卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体 形成ホルモン(LH)の濃度が上昇すると分泌を抑制することをネガティブフィードバックと言います。逆に、分泌を促進することをポジティブフィードバックと言い、このフィードバックを利用して、微妙な分泌で成り立つホルモンを監視しています。
・(FSH)卵胞刺激ホルモン 基準値:3.5~12.5mIU/ml
卵巣の中の原始卵胞に作用して、成熟卵胞に発育させます。FSHの値が高い場合は、卵巣機能の低下を疑い、卵子の質が低下しているかどうかを見ることができます。
月経中に測るFSHの値から卵巣の働きをある程度は推測できるので、基準値をどの程度超えているかを確認します。黄体ホルモン(LH)とのバランスが大切でで、LHを1とするならば、FSHが2倍以下であれば理想的です。
・黄体化ホルモン(LH)基準値:1.5~8.0mIU/ml
成熟卵胞を刺激して、排卵をうながす働きがあります。そして、排卵後の卵胞の中に黄体という組織を作ります。
黄体ホルモン(LH)は、脳の下垂体からFSHと同様に分泌されるホルモンで、2つのホルモンのバランスが大切です。 FSHと協力して排卵前の卵胞の成長にも深く関わります。
LHが上昇すると、排卵が近づいていることがわかります。 排卵前に使う市配の排卵検査薬などは、尿中にでるLHサージの度合いを見て上昇を確認します。
黄体形成ホルモンとも呼ばれていて、LHとP4(黄体ホルモン)には密接な関係があります。
・卵胞ホルモン(エストロゲン)(E2)基準値:20~85pg/mL
卵胞が発育すると分泌されます。卵胞の成長にともない量も増加します。女性らしい身体を作ったり、肌の新陳代謝を促進したり女性をきれいにすると言われるホルモンです。
エストロゲンはエストゲンとも呼ばれて、E1、E2、E3と3タイプありますが、卵胞を育てる力が一番強いのがE2です。エストロゲンは、子宮内膜を厚くしたり、頚管粘液を増やしたりする作用もあります。
卵胞の成長にはE2の上がり具合を見て確認します。E2の高さには個人差があるのですが、個人の排卵の癖を見極めるのに重要な手がかりとなります。
1回の生理周期の中でE2の山のピークは2度あります。始めの山のピークは排卵前の排卵を即すきっかけとなります。その後排卵するとピークが過ぎてE2のカーブが下がっていきます。
2度目のピークは、受精卵の着床に向けて着床の準備のための子宮内膜を厚くする働きに関与します。子宮内膜が厚くなりそれを維持するためには、P4(プロゲステロン)の力も必要となります。
・黄体ホルモン(プロゲステロン)(P4)基準値:0.92pg/mL以下 (普通は生理中は、P4は1.0pg/mL以下となります。)
P4は妊娠ホルモンなどとも呼ばれます。排卵後の卵胞から分泌されて受精卵が着床しやすいように働き、子宮内膜の分泌腺から養分を分泌させ子宮に多くの血液を送ります。
排卵の前から少しずつ分泌されているのですが、高温期となり卵胞が卵子を排卵した排卵後からが本格的な分泌が始まります。P4は排卵を抑制する働きもあり、FSHとLHに対しても抑制しています。
【ホルモンの分泌異常でおこる高プロラクチン血症】
高プロラクチン血症とは、脳下垂体から放出されるPRL(プロラクチン)というホルモンの分泌が異常に高くなることでおこります。本来PRL(プロラクチン)というホルモンは、赤ちゃんを産んだ産後に分泌されて、母乳を出させるホルモンになります。
産後すぐは妊娠しないように母乳がでるのですが、PRL(プロラクチン)が高い場合は基礎体温の高温期が短くなり黄体機能不全、無排卵や無月経につながります。
PRL(プロラクチン)はTSH(甲状腺刺激ホルモン)と連動しています。TSH(甲状腺刺激ホルモン)は妊娠すると高くなり、妊娠7週目頃に落ちてくるホルモンになります。これら2つのホルモンが妊娠したら上昇するといことは、妊娠前から高値であるのは、女性に不利であるということになります。
PRL(プロラクチン)は脳下垂体から放出される刺激ホルモンで、卵胞を育てるためには適度な高さも必要です。PRL(プロラクチン)が高すぎる場合は適正値まで落とす必要があるのですが、低くなりすぎると卵胞が育たなくなるため適正な値にもっていくことが大切です。