妊娠について

妊娠の初期は卵巣から出るホルモンの影響で身体全体がだるく、子宮の辺りにキュンとする刺激があるなど調子の良くない状態が続きます。

便秘気味にもなります。不意に気分が悪くなる事もあります。味覚が変わり、好きだった物が食べられなくなったりします。(悪阻=つわり)

赤ちゃんに栄養を送る胎盤ができあがる頃、卵巣はお休み状態となり不快な症状は落ち着きます。

不妊治療後の方は、自然妊娠よりも少し流産率が高いため、お米や洗剤など重いものはぜひ、ご主人に週末に買い求めて頂いて下さい。

遠方の大親友の結婚式や身内の法事なども妊娠15週以前の場合はご家族と相談され、ご挨拶だけで済まさせて頂くのもよろしいかと思います。

悪阻(つわり)は妊娠8週から12週頃に1番強くなります。匂いに敏感になったり味覚障害が出たり、はき気と嘔吐で食欲がなくなります。この時期の赤ちゃんはまだ小さく、母体の蓄えから栄養をもらえます。

空腹も満腹も気分が悪くなるので、食べたい時に食べたい物を小分けにして召し上がって下さい。冷たくパサパサしたものの方が食べ易いです。

水分もとれなくなり、5kg以上の体重減少がある時は重症なので、かかりつけの産婦人科で点滴治療や採血が必要です。

栄養面がお気になられる場合は、葉酸を含むマルチビタミンを何か1種類だけご使用になるのもよろしいでしょう。

あまりにも症状が強く出る時には胃内視鏡が必要になります

口腔内が不潔になると虫歯が気になりますが、歯磨きも気分不良になるので、食べた後は口を水かお茶でゆすいで下さい。

亜阻(つわり)がおさまれば、赤ちゃんを健やかに育くむために、高蛋白食・低脂肪食を心がけて下さい。

最初に野菜を、次に魚や肉・卵、最後に炭水化物の順に召し上がれば血糖値があがりにくく太りにくいと言われています。

妊娠前の体重が少なめの方は12~15kg、普通の方は10kg、多めの方は7~8kgの増加が望ましいです。

痩せすぎの方は胎児娩出の際に外陰部の伸展が乏しく、裂傷がひどくなるケースもあります。また、太り過ぎの場合は陣痛微弱になり、分娩時間が長くかかりがちです。

妊娠中期の頃

妊娠20週をすぎるとつわりも収まり体調は良くなります。夏場は腟炎→子宮頚管炎→絨毛膜羊膜炎がおきやすくなります。帯下が増え、おなかの張りを感じる時は、検診の時期でなくとも、かかりつけ医を受診して下さい。

妊娠28週頃になると、お腹が大きくなり腰痛がおこりやすくなります。ガードルタイプで広くマジックテープがついている腹帯でお腹を持ち上げると、少しはお楽になると思います。

妊娠前よりワンサイズ大きめで、しっかりした踵(1~2cm)のある靴に交換すると、背骨の反りが軽減され、背中~腰の痛みが軽減されます。足がむくむ場合は、横になって足を少し高くして休憩して下さい。

湿布を含め強い鎮痛剤は使用できないので対症療法が望ましいですが、コントロールが難しい場合は漢方薬や妊婦用の鎮痛剤で乗り切りましょう。

帯下(おりもの)が多く、お腹の張りを頻繁に感じる場合は早産の兆候であるため、検診日以外でもご来院が必要になります。

絨毛膜羊膜炎の検査が陽性に出ると腔洗浄と腟剤の挿入と経ロ抗生剤の服用が必要になります。

妊娠32週の頃には胎児が大きくなり、胃を圧迫して少し食べるだけで苦しくなったりする方がおられます。少量ずつ何回にも分けて食事をなさって下さい。

妊娠後期になると

36週頃になり胎児が産まれる準備を始めると頭部が下降し、改善されます。

37週を越えると正期産になります。

赤ちゃんの体重が週数相当になっておられれば、スムーズな分娩進行のために、無理をなさらない範囲で、腹圧をかけないように後ろに少しもたれる状態で開脚ストレッチなどをなさり、ゆっくりと大股でお散歩をなさって下さい。

お腹が張る原因になるため、探えられていた乳房の手入れも、この頃から準備して下さい。

入浴前に乳頭にオリーブオイルなどを塗って入浴し、入浴後出る前にガーゼをしぼって人差し指に巻いて、そうっと乳頭の垢(あか)を (敏感になっていて痛いので、1度にではなく何回にも分けて行います) 取リ除いておいて頂ければ乳房のトラブルが少なくなるように思います。

どなた様もどうぞ母子ともに健康でゴールまでのり切って頂けますよう、心よりお祈り致します。