柴胡加竜骨牡蛎湯

柴胡(サイコ)、竜骨(リュウコツ)、牡蛎(ボレイ)、黄ごん(オウゴン)、大黄(ダイオウ、半夏(ハンゲ)、人参(ニンジン)、茯苓(ブクリョウ)、桂皮(ケイヒ)、生姜(ショウキョウ)、大棗(タイソウ)の11種類の生薬が配合されています。

「桂枝加竜骨牡蛎湯」と違う生薬は、「柴胡」「黄ごん」「大黄」「半夏」「人参」「茯苓」の6種類の生薬が増えて、「甘草」は含まれません。

柴胡:ほてりやのぼせなどの症状を抑えて、体の炎症や鎮めます。

黄ごん:ほてりやのぼせなど、体の炎症や機能の亢進状態を鎮めます。

大黄:便通をよくして体内の熱を冷ます。自律神経を調整します。

半夏:吐き気や胸のつかえ感を抑えます。

人参:脾胃の機能を高めて全身状態を改善します。

茯苓:精神安定に作用。人参・大棗とともに消化機能を高めます。

気の流れをよくする

この処方は、体力がある方に向きます。先日の「桂枝加竜骨牡蛎湯」は体力が無い方でした。どちらの処方も精神を安らかにさせて、穏やかな気持ちへと導くことが目的ですが、体質によって処方が変わります。胃腸が弱い方や漢方で言う、「虚」の方には使いません。

どちらにも含まれている「竜骨と牡蠣」に含まれる「炭酸カルシウム」が、神経の高ぶりを鎮めてくれることがこれら2つの処方の特徴でしょう。古代は、竜骨にはマンモスなどの化石を使用していたようですが、現在は象や馬、牛などの化石を使っているようです。

不安感や緊張感を感じやすい方で、神経症、不眠、気鬱などは、気が滞ることが関係しています。全身に流れる気の流れを良くして、気が巡ることで、それに伴う症状が改善します。気の巡りをよくすることを目的として使われるのです。

滞った気を発散させ、身体にこもった熱を放出させて、神経が過敏になることを防ぎます。高血圧や性的機能が低下した状態、動悸や息切れ、円形脱毛症などにも効果があると言われています。男性不妊にも良く使われていて、勃起不十分な方や早漏気味の方にも処方します。

神経の高ぶった状態が長く続くと、緊張した状態からストレスなどがどんどんと溜まってしまい、疲労感が増し、不安な気持ちになったり、イライラしたりと悪循環です。本来は、疲労を回復させるために、睡眠をとって脳を休めます。

不眠症を解決しましょう

充分な睡眠をとるには、大脳をリラックスさせなければいけません。自律神経で言うと風交感神経を優位にすることです。そのためには、セロトニンという物質が分泌されなければいけませんが、緊張や不安感があると、セロトニンが思うように分泌されません。

セロトニンが不足してくると、大脳が活性化されてしまい、眠りにつくことができにくくなります。そのような状態にならないように「柴胡加竜骨牡蛎湯」を飲むことで、なんとなく寝つきがよくなり、負のスパイラルに巻き込まれないようにされて、穏やかな日々を送って頂けたらと思います。

眠れないと辛いかと思います。睡眠薬代わりに飲まれる方もいらっしゃいますが、睡眠をとる前には避けた方が良いと言われることは、やはり実行してください。

・カフェインはなるべく午後の3時以降は飲まないようにする。

・眠る3時間前の飲食は控える。

・眠る前に興奮するようなことはしないで、リラックスする。

・スマホやタブレットも睡眠の直前まで使用しない

生活面では、毎日同じ時刻に起きて明るい陽射しを浴びることや、昼間はなるべく身体を動かすこと、ストレッチなどの軽い運動を取り入れるなど、規則正しい習慣をつけることも大切です。