香蘇散(コウソサン)
本格的に寒い季節になってきました。風邪をひいたかたもチラホラとお見受けします。妊婦さんでも服用できる漢方を紹介しましょう。
妊婦さんが漢方薬を服用する場合は、妊婦さんは「虚証」と見て処方しますので、身体に負担のかからないなるべく優しい処方をします。
妊婦さんや胃腸の弱い方が風邪をひいたときに処方する漢方
まずは、香蘇散(コウソサン)です。
香附子(コウブシ)、蘇葉(シソヨウ)、陳皮(チンピ)、生姜(ショウキョウ)、甘草(カンゾウ)の5つの生薬からできています。香附子と蘇葉が主薬になることから香蘇散の名がついています。
香附子:健胃、利尿、発汗、鎮咳などの効果のほかにも気分を明るくする効果が期待できます。
陳皮:健胃、鎮咳、去痰、吐き気止めなどに効果があり、発汗作用もあります。
蘇葉:血行をよくし、痛みを鎮める効果があり、月経不順、頭痛、腹痛などに用います。
生姜:身体を温め、健胃、鎮吐などがあります。
甘草:痙攣や疼痛、咳、動悸などに効果があり、肝機能の強化、解毒作用、抗アレルギー作用などもあります。
いずれも気の巡りを良くする生薬ですから「香蘇散」は妊婦さんにはおすすめの処方になります。特に香附子という植物の根茎は、気を補う力があり、妊婦さんの気分の浮き沈みや、つわりにも効果が期待できるので良いでしょう。
風邪の引き始め、体力のない方、胃腸が弱い方にもよい処方です。麻黄が含まれていないので、「葛根湯」が飲めない方にも良いでしょう。
発散作用で、体の熱や腫れ、痛みをやわらげる作用で、悪寒や頭痛、鼻づまり、食欲不振、蕁麻疹などにも使われています。
「気」を補い、巡らす作用から、ストレスが原因の病にも効果があり、神経症、不眠、うつ傾向の方、出産後のマタニティーブルーと呼ばれる症状にも効果が期待できます。
予防が大切
妊婦さんが風邪をひいた場合は、まずは、手洗い・うがい・マスクの着用を徹底して、風邪にかからないように気を付けてください。ウィルスに負けない身体を常日頃から意識して、規則正しい生活を心がけましょう。
ご心配な場合は、いつでも受診してくだされば、風邪の症状に合わせた、比較的安全なお薬を処方させていただきます。