麦門冬(バクモンドウ)、半夏(ハンゲ)、人参(ニンジン)、粳米(コウベイ)、大棗(タイソウ)、甘草(カンゾウ)の6つの生薬から出来ています。
麦門冬:滋養強壮、解熱、咳を抑え、痰を除去するなどの効能があります。
半夏:胃が弱い人の咳を抑え、胃を強くする効能があります。
人参:疲労回復、免疫機能を高めるなどの作用も期待されています。
粳米:体内の余計な熱を取り、必要な部分を温めるという2つの作用があります。
大棗:脾臓と胃の働きを良くします。
甘草:鎮痛、解毒などの効能があり、胃痛や十二指腸潰瘍などにも効果があります。
咳に効果のある麦門冬湯
咳の症状を抑えることを目的とします。
気道や皮膚、粘膜を潤す作用で、痰を切れやすくするので、空咳、痰の切れにくい咳、口腔乾燥、皮膚乾燥症に処方します。比較的、高齢の方に処方することが多いのですが、咳が気になり、妊娠中のお薬を飲むのを躊躇しているに方にも処方することの多い「麦門冬湯」です。
風邪は、栄養補給と休養が第一ですが、症状が辛い時にはお薬の使用も考えると思います。しかし、特に妊娠初期のお薬の使用には、皆さんも気になるようで神経を使っておられるでしょう。
妊娠中に咳が、時折出る咳であれば、さほど心配いりませんが、日中も咳が止まらず、夜間も咳のために、十分な睡眠が取れないというようであれば妊婦さんの身体が心配です。
妊娠中のお薬の投与には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与を認められたお薬を処方します。
風邪をひけば、風邪薬を飲めば治るわけではありません。風邪のお薬は風邪をひいたために、症状がでている辛さを緩和する目的であることを理解しておいてください。
風邪の症状が辛い場合は、遠慮せずに私ども産婦人科医にご相談ください。
年齢や体格にあわせて分量を変える
高齢の方や、妊婦さんだけでなく、子どもにも「麦門冬湯」はよく使われます。小児気管支炎や小児ぜんそくなどにも効果が認められているのです。幼児など幼い子どもであっても服用できます。
子どもの場合は、「麦門冬湯」の飲む分量を変えます。
・7~15歳未満:通常の2/3
・4~7歳未満:通常の1/2
・2~4歳未満:通常の1/3
・2歳未満:通常の1/4以下に減らして服用しましょう。
「麦門冬湯」は甘い味がするので、飲みやすく、子どもであっても抵抗なく飲むことが出来ると思います。
とにかく冬は、気温の低下によって空気中の水分が少なくなることや、寒いために暖房器具を使うことから、室内はどうしても空気が乾燥してしまいます。加湿器などを利用することや、乾燥しないような環境を心掛けてください。