「麻子仁丸(ましにんがん)」
大黄:主要成分はセンノシドで、緩下作用が便秘に働きかけます。
麻子仁:植物油で、パルミチン酸、瀉下作用や腸を潤す作用です。
枳実:健胃作用があり、胸や腹部の膨満感の改善に働きます。
厚朴:主要成分のマグノロールは利尿作用や、気を巡らす作用で緊張を和らげます。鎮静作用、筋弛緩作用など中枢で緊張を和らげます。自律神経に働きかけます。
杏仁:アンズの種子にはアミグダリンが含まれて、消化管の滑りをよくします。
芍薬:主要成分は、ペオニフロリンです。筋肉のけいれんを緩める作用や血を補う作用があります。
食物の油を利用する
麻子仁丸の「仁」は種子を表します。菜種や胡麻、ひまわりなど食物の種からとった油は食卓にもあがりますね。その食物の油分が腸の乾燥を防いで潤滑油の働きをして、便の排出がスムーズになるのです。
「潤腸湯」にもこの作用を期待して麻子仁、桃仁、杏仁が含まれていることを紹介しました。麻子仁丸も腸を潤すことと、腸の蠕動運動を促すことが目的で便秘の改善の為に処方される漢方です。
先日紹介した「潤腸湯」は血虚や瘀血を改善する生薬も含まれていて、「麻子仁丸」よりは効き目が穏やかになります。大黄の量も「麻子仁丸」の方が多く含まれているので、「潤腸湯」よりは、少し強い作用で便秘の改善に働きかけます。
お年寄りや身体が弱っている方に
潤腸湯は、「虚証」向けだと言いましたが「麻子仁丸」も「虚証」の方で、水分が不足している状態の方に向いています。年齢や体重、体質などにより服用する分量を調整しながら処方するので、必ず相談してください。
便秘に処方される漢方も色々ですが、自分に合った処方を見つけることができれば、すごく有り難いです。便秘のタイプによもりますが、時と場合によって、便秘の状態も変化します。自分の今の状態を把握することが大切です。