風疹は、感染症のひとつで風疹ウィルスに感染することで発症します。
飛沫感染するので、咳やくしゃみなどに対するエチケットが大切です。子どもの病気のように思われていますが、大人の発症率が高い病気です。7年ほど前に風疹が大流行したことは記憶に新しいのではないでしょうか?
風疹の症状は?
風疹は2~3週間の潜伏期間があり、最初に顔や首のあたりに小さな発疹が現れます。そして、発疹は全身に広がっていきます。
目の充血、発熱、軽いせき、リンパ節の腫れ、関節痛、軽いせきなどが現れますが、ほとんど軽い症状なので「三日ばしか」などとも呼ばれます。
無症状の方もおられるので、感染していても気づかない場合もあります。
風疹ウィルスに一度感染すると抗体ができるので、その後風疹にかかることはないといわれていますが、まれに抗体ができにくく、再び感染する場合があります。
風疹は、子どもよりも大人がかかると、高熱が出たりして、重症化することもあります。
注意が必要なのは妊娠中の感染で、お腹の赤ちゃんに起こす悪影響です。
妊娠中に風疹に感染するとどんな障害が赤ちゃんに出るのか?
妊娠中風疹に感染すると、お腹にいる赤ちゃんにも感染し、先天性風疹症候群と呼ばれる障害が起こることがあります。特に妊娠初期は注意が必要です。
障害として現れるのは?
- 眼の障害
白内障、緑内障、網膜症など。視力が弱くなったり、視野が狭くなったりなどの症状が出ます。重度になると失明する場合もあります。
- 心臓の障害
心室中隔欠損症、肺動脈弁狭窄症などが現れて、心臓の障害が影響で肺や胃などに負担がかかることになります。
- 耳の障害
耳の中が詰まっているような感覚など音が聞こえにくい難聴などです。
上記の他にも、体出生体重、精神・運動発達の遅れ、発育の遅れ、血小板減少性紫斑病、肝脾腫などさまざまです。
妊娠週数によって出やすい障害
風疹に感染した時期(妊娠の週数)により、赤ちゃんへの影響が異なります。
妊娠初期にあたる12週未満は、赤ちゃんの身体の器官が作られる重要な時期です。高い確率で先天性風疹症候群を発症すると考えられるので注意が必要な大切な時期です。
眼の障害は妊娠3か月以内の感染、心臓の障害は妊娠4か月以内の感染で起こると言われています。
妊娠6か月を過ぎれば、お母さんが風疹にかかったとしても引き起こされる可能性は少なくなるようです。
妊娠週数が進むにつれて、風疹のウイルスが赤ちゃんに悪影響を与えるリスクは減っていきます。
難聴の場合は、妊娠6ヵ月以降もリスクがあると言われているので、妊娠中は風疹にかからないにように予防しましょう。
妊娠中に風疹に感染したら?
妊娠中に感染してしまった場合、今のところ治療法はありません。対処療法として、発熱や発疹などの症状に対しての治療をするだけになります。
胎児に先天性風疹症候群の疑いがある場合も、妊娠中にできる胎児への治療方法はないので、生まれてから、白内障や心臓の手術、難聴などの耳の障害にあったリハビリを行うことになります。
もし、妊娠中に風疹の症状が出て、感染が疑われる場合は、ほかの妊婦さんへの影響があるので来院せず、まずは電話でご相談ください。
風疹の可能性が高いと判断した場合は、妊婦さん自身の症状をやわらげるように対処療法で対応します。
赤ちゃんの感染のリスクを心配されるかと思いますが、カウンセリングには高次病院へご紹介します。
家族の方と相談しながら、今後どのような検査を受けるかを慎重に検討しましょう。
妊娠中に風疹を予防するには?
妊娠すると定期的に妊婦健診を受けます。初期の妊婦健診で風疹の抗体検査をしますので、風疹にかかる可能性があるかどうかを判断します。
しかし、検査で抗体が少ないことがわかっても妊婦さんには風疹の予防接種を打つことが出来ません。
なるべく人ごみを避けて、手洗いとうがいで予防に努めることになります。風疹は飛沫感染するため人ごみを避けて、マスクをつけるなどして、外から帰ったら手洗いとうがいを必ずしましょう。
これから寒くなり、空気も乾燥します。注意が必要な今後どのような展開になっていくか不明瞭なコロナウィルスや、インフルエンザウィルスにも十分注意が必要です。
コロナもどのようになっていくか予測できませんが、インフルエンザなども注意しなければいけないので、十分注意して過ごしてください。
妊娠する前に予防接種を受けておくことが大切です。子どものときに受けたことがある方も、抗体が付いていない場合もあります。
抗体があるかどうか検査しておいて、抗体がなければ再び風疹のワクチンを打っておきましょう。パートナーの方や同居の家族もワクチンを打っておく方が安心です。