基礎体温表について

妊娠を望む方には、基礎体温をつけることをお願いしています。

基礎体温を測り記録することで排卵や黄体期、月経周期などを多くの情報を知ることができます。もちろん基礎体温を付けたからといって、すぐに妊娠するわけではありませんが、不妊症を疑ったときの最初の一歩となります。

未婚の女性の方でも、普段の自分の身体の状態をチェックするために基礎体温をつけることはおすすめです。

基礎体温をつける意味

基礎体温を1ヶ月続けて測って記録していると体温の相が2相になっていることが分かります。

月経が始まってから月経中と月経が終わってからの2週間は低温期と呼ばれて、基礎体温の低い状態が続きます。基礎体温の低い状態からもう一段下がった状態になった境目の日が排卵日です。そして、そこから基礎体温は上昇して高温期と呼ばれる体温の高い状態が続きます。

もし、妊娠していれば、そのまま高温期が続き月経予定日になっても生理がきません。妊娠していなければ、そのまま月経が始まり再び低温期へと移行します。

低温期と高温期の基礎知識

基礎体温とは、安静にしている時の体温で生命を維持する最低限必要なエネルギーを消費している状態の体温です。朝起きてすぐに舌の下で検温することが大切です。

基礎体温は小数点以下2ケタでの小さな変化です。女性ホルモンの変動を確認していて、普段の体温である平熱とは違います。

基礎体温を記録していくと、低温期と高温期の基礎体温が約0.3~0.5℃くらいの差があることがわかります。正常に排卵が毎月行われている女性が基礎体温表をつけていると、低温期と高温期の二相に分かれます。

低温期、高温期は、排卵日を挟んで2週間ずつあり、ひとつの周期になります。自分の身体の変化やホルモンの状態を見るには、1ヶ月の1周期だけでなく、2~3周期は確認してください。1周期だけでは、平均的な体調が正確に判断できません。

基礎体温から見るホルモンの変化

低温期

基礎体温の低温期は、月経が開始してから体温が上昇するまでですが、平均13~15日です。卵胞ホルモンであるエストロゲンにより体温の上昇が抑えられていて、基礎体温の平均は36.0~36.5度です。

個人差があるのですが、月経の周期が28日周期の場合は、月経が始まった1日目~排卵までの約2週間は低温期になります。低温期の期間は、エストロゲンが分泌され子宮内膜が増殖していきます。

排卵

卵巣からのエストロゲンの分泌がピークになると脳の視床下部、下垂体から黄体化ホルモンのLHが排卵を指令します。そして、排卵が起こりその後、黄体ホルモンのプロゲステロンの分泌が始まります

基礎体温は排卵直後に上昇を始めます。排卵後の基礎体温は、一般的に36.3~36.7度ぐらいに上昇し、12~15日ぐらい続きます。基礎体温を継続して測定すると低温期から高温期への移行があることで、排卵が起こったことを確認できるようになるのです。

高温期

排卵後はエストロゲンの分泌が一時的に低く、排卵を終えた卵胞が黄体化して、黄体ホルモンであるプロゲステロンの分泌が急激に増加し、体温を高温に保ちます。これは、受精した卵子が母体と中で37度に保たれるためと考えられています。

低温期より0.3~0.5℃、基礎体温が上昇する高温期に入ると高温期は約12日間続きます。

妊娠が成立

高温期が16日以上、続く場合は妊娠の可能性が高くなります。妊娠14週で赤ちゃんの胎盤が出来上がるまで続き、その後低下します。妊娠が成立しなかった場合には、月経がスタートするので高温期が低下します。

また、体温が上がらず低温期が続いていたら、無排卵の可能性もあります。基礎体温をつけることで「排卵」のタイミングや「そろそろ月経がくるな」ということもわかります。

女性は女性ホルモンの関係で、排卵前や排卵後では身体の状態の変化が大きく、さらに妊娠すると女性ホルモンの変動が大きく心身の状態が変わります。自分自身の身体のリズムを知ることは大切で、自分自身のリズムをきちんと知ることや、妊娠中の心身のケアや心構えを早くから準備できることで、自分に自信が持てるようになるでしょう。

注意すべき基礎体温のパターン

基礎体温を測ることで、自分のパターンがわかってきます。体温表を見て気をつけたいタイプを紹介します。

低温期が続く

グラフで低温期がずっと続く場合は、無排卵の可能性があります。月経がはじまり、次の月経までの間の基礎体温があまり変わらず、グラフが低い位置が続くときに無排卵月経を疑います。妊娠するために必要な排卵が起こっていなく、女性ホルモンの分泌の低下も疑われます。

高温期が短い

高温期は約2週間続くのですが、それより極端に短い場合は、卵巣の機能が上手く働いていない状態で、黄体機能不全の疑いがあります。本来は排卵後黄体ホルモンであるプロゲステロンが優位に分泌されるのですが、プロゲステロンの分泌期間が短くなっているのです。このような状態を放っておくと妊娠しても受精卵がうまく育たず妊娠を妨げる可能性があります。

グラフがM字

低温期から高温期には移行するのですが、高温期に一時的に基礎体温が下がる場合があります。これも高温期の時期が短い場合と同じで、卵巣の機能が上手く働いていない黄体機能不全を疑います。グラフで見るとM字のような形になります。

注意すべき低体温

基礎体温を測っていると日頃の自分の体温を把握できますが、平熱が35℃台であれば低体温の可能性があります。平熱が低い理由はなにか知ることも重要です。環境や心身のストレスが原因であれば、自律神経のバランスが保たれていないこともあるのでなるべく低体温を改善しましょう。自律神経がバランスを崩すと免疫も低下します。

基礎代謝が低い

平熱が低いと基礎体温も人よりも低すぎる場合があります。基礎体温が低すぎる場合は、基礎代謝が低いことが多く、高温期になっても体温が低い状態になることがあります。基礎代謝が低いということは熱を生み出す力が弱いことになります。このような場合も排卵に影響がでるので注意します。