タイミング療法

不妊治療を始めるにあたり、それぞれの立場やご年齢、身体の状態により治療方法は異なります。最初に行われるのは意識して性生活(セックス)のタイミングをとることです。

タイミング療法は排卵に合わせて性生活を持つ方法で、排卵日や超音波検査、ホルモンの測定によって排卵を予測します。

女性の排卵のタイミングは、月に1回しかありません。排卵の時期以外に性生活をもっても基本的には、妊娠することはありません。

そのため赤ちゃんを授かるためには、タイミング療法で排卵日を狙って性生活を持つことで妊娠の確率が上がります。

チャンスがあるのは、排卵日前後2~3日間です。このチャンスの期間に性生活を持つことで、妊娠への期待できます。

妊娠が可能な期間を正確にとらえて、妊娠のチャンスを高めます。タイミング療法は保険適用で治療できます。

タイミング療法の進め方

タイミング療法では、まず排卵日を予測するこが重要です。排卵日を予測するには、「基礎体温の計測」「排卵検査薬の使用」「病院での治療」の3つがあります。

  • 基礎体温表から排卵時期を予測する
  • 超音波検査で卵胞の成長の状態をチェック
  • 卵胞18㎜が排卵の目安!医師より夫婦生活のタイミング指導
  • 排卵・黄体機能の確認をする
  • 生理予定日の数日後に妊娠判定!

★基礎体温をつけましょう

基礎体温の計測は妊活の基本。まずは基礎体温を計測して、低温期と高温期を把握しましょう。

3か月程計測を続けると、自分の月経のリズムがわかってくるので、ある程度予測することができます。

目安は低温期最終にぐっと体温が下がる日(最低体温日)で、排卵はこの最低体温日の前日から高温期になるまでのどこかで起こると言われています。そのため、基礎体温を毎日計測し体温の変化をしっかり見極めることが大切です。

基礎体温の計測は、自分でタイミング法を試す場合でも、病院で指導される場合でも、どちらでも必要となります。「子どもを授かりたい」と思ったら、まずは基礎体温の計測を始めましょう。

婦人体温計を使います

正確な基礎体温を測るためには、婦人体温計を使い、舌の裏側に体温計の先を当てて測ってください。

②目が覚めたらすぐに測ります

基礎体温を測る時間はできる限り、毎日同じ時間に測るようにします。朝、目覚めたらすぐに測定します。出来るだけ同じ時間に寝て、同じ時間に起きるように規則正しい生活を心がけましょう。

夜勤などをされる方は、ぐっすり4~5時間眠った後に測定します。測定時間がいつもより遅い時や前日の睡眠不足、アルコール摂取では体温が上昇しますので、空欄に書き留めておいてください。

③継続して測定します

一定期間計測を続けてください。最低3か月間続けて測定していると、自分の基礎体温の推移が分かり、自分の排卵のタイミングがつかめます。

下記のページも参考にしていただければと思います。

参考記事:基礎体温を測るのは難しい?の記事も参考にしてください。

★超音波検査で卵胞の状態をチェック

排卵日を特定するために、超音波を使い、卵胞の大きさ、子宮内膜の暑さなどをチェックします。

自然周期では、卵胞が約12㎜程度までになると1日あたり約2㎜のペースで成長していきます。

排卵の直前になると卵胞が約18~20㎜までに成長することから、超音波で卵胞をチェックして、排卵するであろう日を特定するのです。

排卵日を特定して、排卵日の前日や排卵日に性生活(セックス)のタイミングを合わすことで、妊娠の可能性が高まります。

また、排卵がきちんと行われたかどうかも、排卵前にあった卵胞が消えているかで判断できます。

卵胞の確認のために行われる超音波検査は、保険適用の回数が定められていることから、定められた回数を超えた場合は自費となるので、注意してください。

★ホルモンを測定する

血中のホルモン値から排卵日を把握し、その日に性生活(セックス)を営んでもらうことで自然な妊娠につながります。

卵巣の中の卵胞は、脳下垂体から分泌されるFSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体形成ホルモン)の刺激で成長します。

卵胞が成熟し、ホルモン値(E2)が一定値以上になると、卵胞が18㎜に成長し、下垂体からのLHサージが働き卵胞内の卵子が飛びだします。

LHサージが働きだして、約16時間~18時間後に排卵されるとされているので、この時を狙って卵管膨大部で精子がスタンバイしていると理想的です。そうすると受精が自然に行われやすいです。

排卵日を特定して、その日の前後合わせて3日間が妊娠のチャンスになります。

人によっては、排卵が不規則な方、卵胞が成長しにくい方などがおられます。それぞれの状態によっては、排卵誘発剤であるクロミッド・セキソビットなど副作用の少ない薬剤やhCGなどの注射を使用してもらいます。

排卵誘発剤を使用することに抵抗があるかもしれませんが、排卵の確実性が上がり、高温相を保つのを助けることで妊娠成功率を上げることができます。

薬や注射代は保険適用ですから高額にはなりません。排卵日を確実にするために、何度か来院していただく場合もありますが頑張ってください。

ホルモンの測定結果によって、必要であれば黄体ホルモンの補充を考えて、受精卵が子宮内に着床しやすくなるようなヒスロン剤などの薬剤を飲んでいただく場合もあります。

総合的に排卵日をより正確に判断します

超音波検査で卵胞の大きさを調べ、排卵期には変化する頸管粘液の状態やホルモンの状態を総合的に判断して、排卵日を正確に判断します。

もちろん基礎体温のグラフもチェックして、排卵のタイミングを見極めます。

タイミング療法で気をつけたいこと

不妊治療のためといえども、病院に指示された日に性生活を持つということは不自然に感じます。

ストレスを感じる方もいるでしょうし、 特に男性は、圧力を感じる場合が多くて、性生活そのものに消極的になってしまうようです。

世界的に見ても、日本は性生活が少ないとも言われています。

パートナーの協力を得ること

妊娠は一人ではできません。パートナーがいてこそですから、お互いの協力が必要です。

妊活を行っている人は、身体づくりや排卵日のチェックに力をいれることが多く、夫婦生活は効率的・義務的になりがちです。 排卵日付近の妊娠しやすい期間にタイミングをとるということは、もちろん大切です。

しかし、効率だけにとらわれすぎては、必ずその日にしなくてはいけないという精神的な負担が大きくなってしまいます。

パートナーがひどく疲れておられる時には、夜はリラックスしてぐっすると寝かせてあげて、翌朝いつもより30分早い時間にパートナーのふところにもぐりこむというのも良策です。

プレッシャーをかけすぎない!

この日に性生活(セックス)を行わなくてはいけないというプレッシャーで、EDになってしまうという不妊EDも心配です。

不妊EDに注意して、パートナーにプレッシャーをかけすぎないようにしましょう。

赤ちゃんを望むための行為ですが、お互いの愛情を確かめ合う機会だということも忘れないようにしてください。

男性だけでなく、女性の心の負担も考えてお互いを思いやる気持ちを忘れないようにすることが大切です。

普段から夫婦で楽しい時間もったり、ムードも大切にしたりしましょう。

排卵日が休日に合えば、近場に一緒に旅行をされるのも良いかもしれません。

長くトライしすぎないこと

タイミング療法にこだわり、何度も挑戦する人もいますが、あまりに長いチャレンジはストレスになることもあります。

というのも、健康的なカップルの約8割の人は、半年以内に、約9割の人は1年以内に妊娠すると言われています。

なんの指導もなしで、性生活(セックス)を持つより、排卵日のタイミング見てチャレンジした場合の成功率は高いです。

何度か挑戦しても妊娠兆候がない場合は、方法を切り替えることも考えましょう。大事な時間を無駄にしてしまうこともあります。

お互いに無理のない範囲で挑戦して、無理であれば次のステップに踏みきります。

一般的には6周期を目安で、ステップアップしていきます。年齢にもよりますが、6周期で成功しなければ、他に不妊の因子の可能性が高いと考えられます。

結果に一喜一憂しないこと

不妊治療を始めると、妊娠への期待が大きすぎて、妊娠しないと、その分落胆も大きくなります。ショックが大きいとそれがストレスとなり、下垂体のホルモンバランスを崩すことにもつながるため、一喜一憂しないようにしましょう。

妊娠するためには夫婦ともに健康でなければいけません。普段の生活も規則正しく、栄養バランスの良い食事をとり、睡眠も十分にとって健康的な生活を心がけてください。

ヨガや太極拳、大股で緑の中を闊歩するなど自律神経を整える運動をする事や、身体を冷やさないようにすることも大切です。